• 2023年6月13日

意外と難しい、長引く咳(せき)について

おかげさまで5月8日に開業し、約1ヶ月が経過しました。

開院当初より、当院には長引く咳(せき)や治療を受けてもよくならない患者さまが多く来院しております。今回は、長引くせきについて書いてみました。

まず、せきは持続する期間によって以下表のように3つに分類されます。

 (日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019より引用)

・急性咳嗽(がいそう):3週間以内

遷延性(せんえんせい)咳嗽:3~8週間

慢性咳嗽:8週間以上 

急性咳嗽について

ほとんどがウイルス性の感冒、つまりは「風邪」が原因であり、発熱や鼻汁、咽頭痛、くしゃみなどの症状を伴い、自然に軽快をしていきます。この経過は皆さんも経験されたと思います。

しかし、この急性咳嗽の中にもごく稀ですが、命に関わる疾患が隠れているため、注意が必要です。

このような疾患が疑われる場合には、急性咳嗽であっても胸部レントゲンや採血、心電図検査などを行う必要があります。

また、元々気管支喘息や肺気腫、間質性肺炎などの肺疾患をもっている方が、かぜを契機にせき症状が悪化することもあります。

・遷延性、慢性咳嗽について

当院にせきが治らないと受診される患者様の多くが、この遷延性咳嗽もしくは慢性咳嗽のタイミングで受診されています。

これらの原因は、

「感染症によるせき」

「それ以外の原因によるせき」

に分けられます。

感染症によるせきは、感染後咳嗽といわれる、感染によりせきの神経経路が活性化して持続するものがメインです。また、肺結核など特殊な感染症も含まれてきます。

それ以外の原因によるせきとしては、咳喘息、後鼻漏、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、肺気腫、間質性肺炎、肺がん気管支拡張症など様々な原因があります。

ですので、長引くせきで受診された患者様には、問診や身体診察や経過から上記のような疾患を念頭に検査を進めていきます。

具体的には、胸部レントゲンやCT検査、呼吸機能検査、採血検査、場合によっては内視鏡検査まで行うこともあります。

ここまで読んでいただくとお分かりかと思いますが、じつは長引くせきの診断は難しく、奥が深いのです。

ですので、日本呼吸器学会のガイドラインにも、「遷延性咳嗽(8週間以上のせき)については、精密検査と呼吸器専門医への紹介を考慮する」との記載されております。

また、手を尽くして調べても原因がはっきりしせず、治療を行ってもせきが持続するという、「難治性咳嗽」というものあり、せきで困っている患者さんはじつは多いのです。

でも、怖い病気が隠れていないなら、せきを放っておいてもいいのでは?と考える方もいらっしゃると思います。

しかし、長引くせき自体が呼吸機能を低下させてしまうというデータもあるので、注意が必要です。

ここまで長々と書きましたが、当院は呼吸器専門医が在籍するクリニックですので、せきや呼吸器症状に苦しむ患者様に真摯に対応して参りますので、安心してご来院ください。

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