- 2023年7月6日
当院の吸入薬指導について
連続して発熱外来やコロナの話になってしまうのも良くないと思い、今回は当院での吸入薬指導について書きました。
当院は内科、呼吸器内科、アレルギー科ですので、気管支喘息や咳喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者様が多く来院されます。これらの疾患では、吸入薬が内科的な治療の柱となります。
さて、これらの吸入薬は他院でも多く処方されることのある薬剤です。しかし、これら吸入薬は内服薬とは決定的に異なる点があります。
それは、適切な吸入手技で吸入ができないと、吸入していないのと同じだということです。
え?どういうこと?と思われた方、いやいや、ちゃんと吸入できていますよ!と思われた方も多いかもしれません。
吸入薬は1960年代から使用されておりますが、じつは昭和から平成、平成から令和となった
現在まで吸入デバイスのエラー発生率に変化はないのです。
致命的なデバイスエラーは約30%程度ともされていて、吸入薬の3人に1人は吸入薬がうまく吸えていないのです。
ですから、私たち呼吸器内科医は、他院さまから転院された、コントロールに難渋されている気管支喘息やCOPDの患者様については、その診断が間違っていないかと並行して、
吸入手技が正しく行われているかをまずチェックします。
当院では、院長の実演や、Youtube動画を使用した吸入指導に加えて、スタッフからの再指導などを組み合わせ、定期的に吸入指導を繰り返すことにより、致命的なデバイスエラーを防ぐことに努めております。
とくに、日本喘息学会の吸入指導動画は、自宅でも何度も視聴することができるのでおすすめです。
日本喘息学会吸入操作ビデオ
https://jasweb.or.jp/movie.html
また、吸入手技も重要ですが、どの吸入デバイスを使用するかも大事です。
当たり前ですが、複数の吸入デバイスを使用する場合はエラーも多くなりますし、やむを得ず複数のデバイスを使用する場合も同じようなシステムのデバイスを選択する必要があります。
お子様やご高齢の患者様で、スプレータイプの吸入薬(加圧式定量噴霧式吸入器 pMDI :pressurized Metered Dose Inhaler)を使用する場合は、
スペーサーという補助具を使用することも重要です。
https://amco.co.jp/patients/post.html
と、意外と簡単?と思われる吸入薬の処方や手技は、じつは奥が深く、マニアックなのです。
もし、現在使用している吸入薬がうまく吸えているか不安な方、2つ以上のデバイスを使用している、お子様の吸入薬がうまく吸えているか心配等がありましたら、当院にて院長にご相談ください。