- 2024年3月25日
国内でまた麻疹の患者が増加しています。。。
ここ最近ニュースでも取り上げられることもが多くなった麻疹ですが、昨年このブログでもとりあげました。
昨年のブログにも書いた通り、麻疹の伝染力はとても強く、抗体がなければほぼ感染をします。また、肺炎や脳炎に加えて亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という生命に関わる疾患を発症したり、免疫記憶をリセットさせてしまうような恐ろしいウイルスです。
身近な流行例では、2018年フィリピンで約5万人が感染し、600人近くが死亡しています。古くは1875年にフィジー諸島で15万人が感染し、4万人が死亡したとの例があります。
予防については、ワクチン接種が唯一の方法になります。1歳のとき、小学校入学前の1年間の合計2回の定期接種でほぼ全員が麻疹の抗体がつくことになりますが、世代によってワクチ接種が行われていなかったり、接種率の低い世代があります。
通常であれば、この世代に接種を促して行く必要があるのですが、じつは最近、ワクチンの自主回収などがあり、成人へのワクチン接種が難しくなっているのが現状です。厚生労働省もまずは、小児へのワクチンを確保を徹底するようにと文書を出しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/001231472.pdf
当院にも昨今ワクチン接種を希望される方が受診されますが、このような情勢を踏まえて、患者さまの母子手帳等の接種歴や抗体検査の値を確認した後にワクチン接種を行うようにしております。さっさと打ってくれよ、心配なんだよという気持ちは理解できますが、優先すべきは子どもたちになります。
さて、話は変わりますが、日本国内でのワクチン接種の状況はどうなっているでしょうか?こちらは、2021年の麻疹、風疹ワクチンの接種率です(日本では麻疹と風疹はMRワクチンというセットのワクチンです)。
ワースト1位は沖縄県でダントツに悪いですが、東京都や神奈川県も40位と低い状況になっていますので、お子様でワクチン接種を行っていない方は接種をしっかりおこなってください。
最後に、麻疹で私のような昭和の人間が思い出すのは、ER緊急救命室 シーズン7 第14話です。麻疹のワクチンを「免疫が弱くなる」と信じて、親がワクチン接種させず、結果としてその子供はなくなってします。麻疹での死亡率はそこまで高くはないですが、私たち医師がワクチン接種を推奨するのはこういう例に遭遇するからなんですよね…